森香有
曹洞宗僧侶。1986年東京都世田谷区生まれ。駒沢大学卒業後、僧侶の道に進み、現在アメリカ・シリコンバレーにて活動中。クンダリーニヨガ講師、シータヒーラーでもある。
Mail:koyu_osawa@yahoo.co.jp
取材・文・編集・デザイン:今井みさこ
今井みさこ:2020年12月21日、木星と土星が重なる「グレート・コンジャンクション」によりに「土の時代」から「風の時代」入ったという記事を最近読みました。これは占星術的に200年ごとに変わる節目なんだとか。この転換期について、より知識を深めたく森香有さんにお話伺いたいと思います。
まず、土の時代、風の時代とは何なのでしょうか?
森香有:はい。まずは土の時代について説明します。土の時代は会社や組織、ブランドなどが大きな力を持っていた時代です。およそ220年間続きました。一方、風の時代は個人がより力を発揮しやすい時代になります。土の時代と風の時代の大きな違いは、社会と個人が大切にするべきものが変わる点です。
2020年はコロナの影響もあり、社会、会社、個人のレベルでこれまでの価値観を見直す必要に迫られました。けれどもそれはきっかけにすぎず、大きな目で見ると地球の大転換期の一部なのです。
今井みさこ:風の時代は、財産や土地、家や車の価値も変わってくると聞きました。ものを所有しないことが重要になるのでしょうか?
森香有:今持っているものをすべて捨てることをすすめているのではありません。例えば、所有権で揉めている土地があるとします。今までは目先の利益を優先して、争って勝ち取ることでうまく行っていたかもしれない。けれど、風の時代ではエネルギーの動きが重要視されます。この例の場合、相手と争った負のエネルギーが自分に影響をもたらす可能性があります。重苦しいエネルギーは風の時代にのっていけないので最終的にはお荷物になってしまうなんてこともあるのです。
今井みさこ:なるほど。2021年以降はどういうことを意識すれば上手に生きられるでしょうか?
森香有:「こうじゃなくちゃいけない」という考え方が「土の時代」の意識なので、「風の時代」はもっと自由な発想、自由なチャレンジが大切になってきます。これまで順風満帆にやってきたことで、最近はちょっとうまくいかないなと感じていることがあるとすれば、それは新たな気付きを得るチャンスです。今井さんの場合は、「こうじゃなくちゃいけない」という思考を手放して新たなチャレンジをしてみる、「これは違うんじゃないか」と思っていたことをやってみるなどですね。
今井みさこ:ものを手放すのではなくて、思考を手放すのですか?
森香有:ものを手放すこともいいですよ。だけど、ものを手放すって簡単なことなんです。
ものは捨ててしまえばいいけど、自分の思い込みや思考は何が邪魔をしているのか気づきにくい。
先にものを捨てていって、身の回りを整理してから自分自身を振り返るというのも効果的です。
あとは、自分が明るい、楽しい気持ちで進められることを優先すること。良いエネルギーの動きを意識すると生きやすくなると思います。
今井みさこ:僧侶、ヒーラーである森香有先生はこの時代の変化をどのように感じていますか?
森香有:2020年の春くらいから毎日の坐禅で自分の変化を感じていました。自分の中のブレを感じるようになり、情報を集めた結果、風の時代が来る転換期なんだと知りました。2020年の11月は特に自分の身の回りでも変化が激しく起きているのを実感していました。今まで普通にやってきたことが風の時代ではうまくいかなるんだと目の当たりする機会もありました。一番厄介なのは自分の正義感です。みんな自分の正義の中で生きているので、自分の正義を振りかざして歩いているとそれに対応できない人は傷つき、反発する人とはぶつかる。そういう誰かを傷つけたり、ぶつかったりする正義感は思い切って捨てるべきですね。「土の時代」から「風の時代」の変化は、昨日今日でガラッと変わってしまうのではなく、冷凍庫から出した氷が少しづつ溶けていくように、少しずつの変化をを実感する機会があると思います。
そういう変化の中で、「これまでの思考を手放していく」ことを意識することで、変化に対応できるようになります。
今井みさこ:2020年はパンデミックもあり、仕事や社会の変化を大きく感じる年でした。これまでは、元の生活に戻ることを願っていたけど、今後は元に戻るのではなく新しいカタチになっていくんだと感じています。
森香有:そうですね。土の時代までは、リーダーについていくことでいろんなことがうまく回っていました。これからの時代はひとりひとりが自分の旗振りをできる時代になるんです。人のアドバイスも大切だけど、自分の直感を信じること。自分をしっかりと見つめて、自分を大切にしてください。
今井みさこ:それって人によってはとても厳しい時代になるんでしょうか。自由には責任が伴うので、大変なこともあります。今までリーダーに寄り添ってきた人たちはどうすればいいのでしょうか。
森香有:その人がリーダーに寄り添っていて、心地が良いのであれば何も問題ありません。理由もなく無理に離れる必要は全くありません。例えばあなたが会社員として働いていて、上司や会社に対してに違和感があったり、他にやりたいことがある場合、思い切ってチャレンジするのはよいことです。チャンスも多い時代ですからね。
今井みさこ:これまでの、いい大学に行き、大手に就職するといった王道ルート以外の人生の選択肢が広がるということですかね。そして自分がやりたいことにフォーカスする方が皆の協力を集めやすいようになる。そういう風が吹くということですね。
森香有:そうですね。エスカレート式に誰かに教えてもらった幸せルートを歩んできて、結局幸せになれないと悩んでわたしのもとに相談に来てくれる方、実際に多いです。
土の時代ではそういう状況になっても、組織や社会がある程度は守ってくれていましたが風の時代は自由になる反面、その責任も自分自身ということになりますね。
ですが、これはデメリットということではなくて、ダメだったらまた方向性を変えていけば良いだけです。恐れずに自分を信じて進んでいって欲しいです。自分の人生、他人に教えられた幸せの選択をするのではなく、自分で決めることをまず意識的にすることが大切ですね。
今井みさこ:子供の人生を考える中で、わたしができることをしてあげたい、幸せになってほしいという気持ちから、この幼稚園入れてあげたいとか、いわゆるエスカレーター式に物事を考えてしまっている自分がいます。どのように考えを変えていけば良いのでしょうか。
森香有:「こうしなくちゃ幸せになれない」という考えが子供に影響するので、その考え方はやめたほうがいいですね。子供もひとりの人間です。客観的に見てあげることと、必要なことをサポートしてあげることが大切です。
何より「どのようなあなたでも大丈夫、私は何があってもあなたの味方だよ」ということをしっかりと伝えてあげることが子供に一番必要なことです。
親が自分の価値観を押し付けて、そこから外れたら落第生レッテルと貼ってしまうと、子供は親に認めてもらうための人生になってしまいます。そんなのってないですよね。
子供が何歳であろうと、どうせわからないだろうなどと甘んじることなく、きちんと対面で話し、説明して、提案をしてあげる。そして、もう今の子供たちは私とは違う次元で生きていますので、とにかく自由な発想を妨げないこと。「そんなことできるわけないじゃん」なんて言わずに、出てきたものを潰さないようにしてください。それができるかできないかを決めるのはわたしたちではなく本人です。今後はそういうアイディアが大切な時代ですし、わたしたちでは可能か不可能かジャッジできないですよね。
今井みさこ:親の知識のアップデートが必要ですよね。
森香有:親はパーフェクトじゃなくていいんです。答えを知っていなくてもいいんです。人って聞いてもらえるだけで、楽になることってたくさんありますよね。
それよりも、パーフェクトな味方でいてあげてください。とはいえ、子供は子供ですから、親は、子供が落っこちそうになった時の受け皿になってあげることも大切だと思っています。
今井みさこ:わかりました。親や仕事人として意識するべきことは何かありますか?
森香有:これからは情報や権利を共有することがどんどん広がっていきます。どういう気持ちのエネルギーで物事に接するかが大切になってきます。今までは、騙してやろうとか、自分だけ得しようとか、いくらでもごまかせていたのですが、これからはどんどん明らかになってしまう時代なので、そういうことがまかり通らなくなっていきます。
自分と目の前の人と向き合いながら、正直にものごとを進めていくことが重要になってきますね。
今井みさこ:家事をするにしても、働くにしても、恋愛するにしてもすべてのことに言えることですね。
森香有:つまずいたときは、自分の意思を通しているのか、または自分の我を通しているのか意識してみてください。微妙な違いですが、全然違いますよね。
今井みさこ:自分と向き合うことに不慣れな人もたくさんいると思います。そういった人はどのように対応すればいいのでしょうか。
森香有:そこまで構えなくていいんです。風の時代なので流されていいんです。この記事を読んで「そういう時代になるんだ〜へ〜」と思ってくれるだけでいいんです。知っているだけで対応できることもあります。
今井みさこ:今までの復唱になりますが、自分の理念とか想いを大切にして、自分の直感を信じて、今までの考えに囚われず、新しいことにチャレンジしていけばいいんだ!と思うようにします!
森香有:自然体でいることが大切ですね。
今井みさこ:それって一番難しいことじゃないですか〜!!
自然体でいながら、信念をもってピュアな心で自分の道を進むって…出家!?
森香有:(笑)仏教用語でいうと、”平常心”を大切にするということですね。場数を踏んで、胆力を鍛えること。胆力は坐禅をすることで鍛えられますよ。自然体でいることを難しく考えずに、正直にやりたいこと、手に入れたいもの、困っていることを大きな声で言っていいんです。風の時代ではコソコソ隠れて野望を果たそうとすると、うまくいかなくなります。物事を重く捉えすぎずに、気持ちを楽にして風に乗ってください。
今井みさこ:2021年は胆力を鍛えたいです!
森香有:ぜひ、坐禅をやってみましょう。風の時代において大切にしてほしいブッダの教えを2つお話ししましょう。
ひとつは”諸行無常”です。”諸行無常”とは「常なるものはなにもない。変わらないものは何一つない、年はとっていくし、花は咲いたら枯れる...」というブッダの教えです。もうひとつは”縁起”。「縁起もの」や「縁起がいい」という言葉で普段使われますが、元々は”縁によって起こる”という仏教用語です。
すべての事が自分ひとりで完結しているわけではなく、いろんな縁によって成り立っています。例えば、自分のことにしても、両親がいて、先祖がいて、あなたが生きていますよね。今この話している環境を見ても、このパソコンを作った人、飲み物を作った人、机と椅子を作った人…このすべてに支えられて、今のわたしたちが存在しています。
それはとてもすごいことで、あなた自身、たくさんの人やものに常に支えられながら生きています。そして、誰しもがたくさんの奇跡の中で生まれた宝物のような存在なのです。ですので、自分も含めた誰しもが生きているだけで価値があることを忘れないでほしいです。
イメージとしては、蜘蛛の巣の中にあなたがいて、みんなつながっている。どこか一点を揺らすとすべてが影響して、動いていく。こんな風に縁によってみーんな繋がっているんです。風の時代はこの動きが全体に伝わるスピードが速くなります。
なので、より自分を大切にして、目の前の人を思いやって行動するといいですよ。
今井みさこ:わかりました!2021年から始まる風の時代は、自分と目の前の人を思いやって、素直に自分を信じて、今までやらなかったことをチャレンジする1年にします!
森香有:ぜひ、今年は坐禅を一緒に始めましょう。坐禅やヒーリングはオンラインでも可能です。興味がある方はお気軽にご連絡ください。より心地よく生きるためのサポートができると嬉しいです。
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