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執筆者の写真Misako Imai

半世紀に渡る、サステナブルな日本のものづくり!「まどろむ酒器」株式会社新越ワークス山後隼人さんインタビュー後編

更新日:2021年8月19日


今井みさこ:前編では、「まどろむ酒器」のものづくりのストーリーを伺いました。後編は、サスティナブルやSDGS(持続可能な開発目標)への意識について伺います。具体的にどのような取り組みをされているのですか。


山後隼人:なるべく長く使える、いいものを作るというのは一貫して企業として大切にしています。壊れやすいと買い替えが必要になったり、処分するにも費用がかかったりしますよね。

また金属はリサイクルが100%可能で、環境への負担が少ない材料を使っています。

他にはエネルギー事業部があり、そこでは”ペレットストーブ”という環境に配慮した商品開発を行っています。このストーブの燃料は日本の森林を整備することで発生する間伐材や林地残材等を主原料としたもので、使い続けることで地域の森を保全するということに直接繋がります。また、木質ペレットを燃やす時に出る二酸化炭素は、樹木が成長する時に吸収した二酸化炭素だけで、他の化石燃料に比べて環境への負担がとても少ないです。ペレットストーブをより多くの人に使っていただくことで、より環境がよくなる。さらに、このペレットの原料は僕たちの地元・新潟の間伐材を使用することで、間伐するという地元の雇用をうみ、森も保全するという循環を生み出しています。今後、環境問題を考えるうえでエネルギーはとても大きな役割を担っているので、力を入れていきたい事業です。


木村真悠子:環境問題はさらに注目される分野ですね。


今井みさこ:その一端を「まどろむ酒器」も担っているのでしょうか?


山後隼人:そうですね。「まどろむ酒器」は銅と錫メッキを用いた金属酒器なので、リサイクル可能な商品です。この酒器では銅と錫メッキという素材を使うことをすごく大切にしています。例えば、ステンレス製の酒器だと少し金臭い感じが残ってしまうことがありますが、錫メッキはそういったことがなく、口当たりもよくしてくれる。さらに、銅は熱伝導率高く、冷たい液体を入れると酒器に温度が瞬時に伝わり、ふわ〜と転写シートの色が美しく変化していく。この驚きを感じられるのは銅を使用しているからです。ステンレス製だと熱伝導率が悪いので、転写シートが色が変わるまでに時間がかかってしまうんです。ガラス、陶器でも難しい。

銅の熱伝導率で転写シートを美しく表現し、錫メッキで味をよくする。銅と錫メッキの特質が生かされた商品で長く使っていただけます。

今井みさこ:そうなんですね。わたしはこれまで金属にこだわったことがなく、よくわからずに100円均一の金網ザルを使っていたりします。


山後隼人:金網ザルにしても100円程度のものもありますし、弊社のザルは高いものだと2000円します。使い続けると違いを感じることができます。

その大きな差は金属の加工技術と表面処理にあります。加工したあとに加工油を落とす作業、表面を研磨する作業があります。実はこれが金臭さにつながってしまう。上手に研磨されていないと、表面がザラザラして、そこから金属イオンがでてしまい「なんか金臭いね」と感じてしまうことがあります。僕たちの地域は金属の仕入れ、加工、研磨する各会社が揃っています。市内で完結できるので、どれもレベルが高く、安定して商品を生産できるめずらしい場所です。


今井みさこ:初めて知りました!今すぐザル変えます!


木村真悠子:世界的にも燕の金属加工技術は評価されているんですよね?


山後隼人:はい。例えば、世界的にも使われていたものだと、Apple社で販売されていた表面がツヤツヤしたiPodの裏のカバーは燕市で加工していました。


木村真悠子:世界が認める技術力ですね!そこは、燕市の歴史にも関係していますよね。

山後隼人:そうなんです。燕市のトレードマークはカトラリー(食器)。国内のスプーンやフォークの95%はこの燕市でつくっています。すごいですよね。約100年前に軍の依頼で製造が本格的に広がりました。元々は燕の人たちが使わないカトラリーと向き合い、学びながらつくってきた歴史があります。はじめは「どうやって使うんだ」から始まり「もっと磨かないと口当たりが悪いぞ」といった具合で先人たちが努力を積み重ねてくれた。そういった歴史を積み重ねてきたからこそ、その恩恵を預かってザルをつくっています。


今井みさこ:サスティナブルや環境への取り組みや考え方だけでなく、先人の豊かさや恩恵を生かして次に繋いでいる地域なのですね。


木村真悠子:商工会議所の70周年記念誌に寄稿した際、燕市でものづくりをされている多くの方々にインタビューをさせていただきました。その際も「先人の方々の努力があったから今があるということ」「僕たちはその歴史の途中です」という認識をみなさんがお持ちで、とても感銘を受けました。繋いでいくという想いの強さですよね。

山後隼人:僕は燕市そのものがドラマだと思っているんです。燕市という主人公がいて、僕らはその主人公のドラマの一部。カトラリーの制作が物語の序盤だとして、今第何話がわからないけどその一部に僕がいて、ドラマ全体からしたら、ここがピンチかもしれないし、チャンスなのかもしれない、それを紡いでる感じ。昔にも未来にもおもしろそうなエピソードがある。僕はエキストラ出演なのか、ちゃんと名前がでる出演なのかわからないけど(笑)


木村真悠子:山後さん、1話分は出演してると思いますよ!


山後隼人:そうですか(笑)だったら、すごく嬉しいです。

先人ともつながっていて、これからもバトンタッチができる。その可能性を感じられているのが嬉しいんです!

木村真悠子:わたしはいろんなきっかけがあって燕市と関わらせていただいていますが、この地域に住む人たちの魅力を感じているんです。結局、地域づくりって人づくりなんですよね。


今井みさこ:積み上げていくところと変わっていくところのバランスが絶妙な印象を受けます。


木村真悠子: 燕市の人たちは、目上の人が、若い人たちを持ち上げる、引っ張り上げる、手を貸すという姿勢があるなと感じます。そして、住んでいる人たちに活気があって心地いい。人の温かさや実直さに触れるたびに、私の心が浄化されています(笑)。プライベートでも遊びに行っちゃうくらい好きな場所なんです。


今井みさこ:日本に帰ったら絶対行きたいです!今のエピソード聞いたら行ってみたくなりました。燕市の人たちに触れたいなって。


山後隼人:ぜひ、いらしてください!こんなものづくりができる地域ってどんな場所なんだろう。行ってみたいなと思ってもらうことが僕たちがチャレンジしたいことです。


今井みさこ:「まどろむ酒器」の今後の展開を教えて下さい。

山後隼人:はい!好評を博したまどろむ酒器シリーズの第3段が、いよいよ1月末リリースとなります!紅葉と月を用いて晩秋を表現したデザインとなりました。

商品のご購入は大泉物産オンラインストア 、アメリカにお住まいの方はe's Japanほか、当社instagramページ 、にて順次紹介していきます!DMまたは当社HPよりお問い合わせください!


「まどろむ酒器」であなたの食事時間がより美しく、華やかになることを願っています。

ぜひ、新潟県燕市にもお越しください!

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